太陽系探査計画・月表面拠点を作る方法(國中 均 宇宙科学研究所長 JAXA理事)

先月、C型小惑星「リュウグウ」への2回目の着陸・サンプル採取を実施した小惑星探査機「はやぶさ2」。そのプロジェクトリーダーを務められた國中先生の講義です。
この講義は、三島市内の中学生約20名も参加して行われました。

まずは、前半の講義パート。
小惑星探査機「はやぶさ」や、「はやぶさ2」とはどういうもので、JAXAはどのような太陽系探査計画を進めているのかをお話しいただきました。
最初に、スクリーンに映し出されたのは、はやぶさ初号機。翼に搭載された太陽電池で発電した電力でイオンエンジンを動かすのが特徴です。2003年5月に地球を出発し、2005年9月小惑星「イトカワ」にたどり着き、また地球に戻ってきました。先生は、はやぶさが撮影したイトカワの写真や、着陸成功時の写真など貴重な資料を交え、その道のりを紹介されました。
はやぶさは、計画通りにイトカワへの着陸・離陸に成功したものの直後に燃料漏れが発生し、2007年の帰還予定から3年遅れ、2010年帰還へ軌道修正を余儀なくされました。帰還まであと半年という頃には、國中先生が担当されていたイオンエンジンが故障し、絶体絶命の大ピンチに陥りましたが、2つのエンジンの壊れたところをそれぞれ補って1つのエンジンとして動かし、帰還を成功させました。

帰還時の映像には、白い光を放ちながら帰ってくるはやぶさの姿と、「はやぶさ、おかえり!」という研究者の声が。塾生たちは、目を輝かせてその映像に見入っていました。

はやぶさ帰還をきっかけに、これまで日本の独壇場だった小惑星探査に、世界各国が参入を始めました。JAXAでも、はやぶさで培ったノウハウを活かそうと、すぐに「はやぶさ2」の計画がスタートしました。
2014年12月種子島での打ち上げの様子を映像で紹介しながら、当時打ち上げ責任者だった國中先生は、「最後にすべてのチェックをして、健全であれば打ち上げられるし、もし問題があって止めるのであれば、打ち上げ7分前まで非常停止の指示をしなければならない。“あれは、ちゃんと直したよな”など気がかりだったことを心の中で確認しながら、打ち上げのボタンを押しました」と、当時の心境を語りました。

「はやぶさは、日本の技術として小惑星にたどり着ついてサンプルを採取し、持ち帰ってくることが出来るかという“技術挑戦”のプロジェクトで、行先はどこでもよかった」と、國中先生は言います。そして、「はやぶさ2では、日本の技術で行きたい場所に行ってサンプルを採取できる」ということを目標としているそうです。

1970年、「人工衛星 おおすみ」の打ち上げから始まり、現在宇宙には、開発中・運用中のものを含めると、20以上の日本の探査機が太陽系にちりばめてられています。JAXAでは、これらを、複数で太陽系を調査する「深宇宙探査船団」と位置づけ、宇宙科学を探求していくと説明されました。

國中先生は、「宇宙研究は、一つのミッションが終わるのに大変時間がかかる。現在計画中のものに、皆さんが関わることが出来るかもしれない。そういった仕事に挑戦してもらえるといいなと思います。」と、塾生たちにエールを送りました。

後半は、塾生たちとの討議。テーマは、「月の表面に基地や活動拠点を作るならどこがいいか?」です。

塾生たちからは、「放射線とかが少なそうだからクレーターの中」、「地球が見えた方が安心だから地球が見える側」、などの様々な意見が出ました。

全ての意見を聞いた後、國中先生は、「月の極域がいいのではないか」と話します。
月の南極域における日照シミュレーションを見せながら、「極域は、地球上でも白夜があるように、長く光が当たっている。すなわち、太陽のエネルギーを長く得ることができる。」と先生。逆に、赤道域は夜が2か月間つづくことになり、条件としてはかなり不向きであると言います。

最後に、月の拠点建設には、山頂へのピンポイント着陸や、タワー状の太陽電池、機器の走行性など様々な技術が必要で、そのために、様々な技術の研究開発が進んでいることが紹介されました。

質疑応答の時間では、たくさんの手が挙がりました。「小惑星の探査では、どんなことがわかるのですか?」との質問には、時間を割いて丁寧にお答えいただきました。

(事務局)

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